里帰り

妊娠後期に入ったので、出産のために里帰りしている。

夫が頻繁に休みをとれる職種では無いし、実家には姉・母・祖母と女だらけ。あとは成人した甥もいる。今の家では、何かあったときに頼れる人が近くにいない。

総合的に見て帰って産んだほうが安心であろう、という判断だった。

けれども、帰って10日で既にちょっと後悔している。

 

先ず、甥が常に外出している。それは別にいいのだけれども、体調を崩しても遊びまわっている。私が帰ったときも、盛大に咳をしながら出迎えてくれた。結局風邪を移され、妊娠中は薬も飲めないのでひどく苦しんだ。

 

あとは、パーソナルスペースが皆無であること。今の家は、姉が「開かれた家」をコンセプトに建て替えたものであるが故、空間の仕切りが緩い。私はトイレ、浴室、リビングに隣接する仏間を割り当てられているのだが、夜の時間にのんびりと過ごすことはまず出来ない。浴室で流れる爆音の音楽、全く興味のないバラエティ番組と笑い声、リビングで頻繁に起こる口争い等々が否応なしに襲ってくる。

夫も私の家族のことはよく知っているので、辛かろうなぁ、と気を使って頻繁に連絡をくれる。その度に「早く帰りたい」(一日ぶり6度目)みたいな返事を返している。

 

そして免疫低下とストレスで、カンジダ膣炎も発症。コンディションは今までになくベリー・ベリー・バッド。家事もやらなくて良いし、健康的な食事も取れるし……でもだからといって楽なわけではないんだ……と思い知った。

 

唯一の静寂は昼食後の一時間。

仕事組は出払っている。母も祖母も自室で昼寝をしている。その間に、本を読んだり調べものをしたり、文章を書いたりする。

 

あとは、元気な時には欠かさず行っている朝夕の散歩。

体重増加が著しいので、とにかく動かなければならない。

そこら中に落ちている犬の糞を避けながらゆっくりと歩く。まだこの辺りの老人たちには「犬の糞は持ち帰る」というマナーは浸透していないらしい。

畑に寄り道して無花果(まだ実がなっている!)や柿の木をチェックして、熟した実があれば収穫してその場で食べて帰る。

 

今は毎日がこんな調子である。