丹沢山行 1

先月、都内から少し離れた、海と山のはざまへと引っ越してきた。

引っ越しというのは、どれだけ余裕を持たせたつもりでも、最後には全てがギリギリになっているものである。この度も、仕事が直前まで舞い込んできて、どうなることかと思った。

荷物を運び出し、旧宅を明け渡した次の日に、私は丹沢縦走へ出かけた。

この頭の悪いスケジュールを建てた自分を心底呪う。これも今年の目標を意識した故なのだが……。

今回の山行は、計8名の大所帯。内、7人は初対面である。そんなパーティーに飛び入りで山小屋泊の登山に参加する、というのはちょっとした冒険であった。そもそも面識ある一人も、5年以上は顔を合わせてなく、その時もプライベートで会ったことは無かった。

しかし、年を重ねると「なんかよくわからん会合」に参加する機会がめっきり減る。環境も変わるし、こういう適当ムーブかましてもいいんじゃないか?と思い立ち「軽率に物事に飛び込む」という目標を立て、それを実行したのであった。

 

そんなわけで、寝不足と疲れで体調の芳しくない中、待ち合わせへと向かったのである。天気予報は見事に『雨』。見事な景観が望めるルートが台無しである。

 

小田急線秦野駅。パーティーに合流し、ハジメマシテ~とご挨拶。半分が外国人の方なので、コミュニケーションが取れるか不安であったが、日本語が話せる方もいたのでほっとする。バスに乗り、スタート地点のヤビツ峠へと向かう。集合写真を撮影し、9:30登山開始!

 

一日目 ヤビツ峠ー表尾根ー塔ノ岳ー丹沢山


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景観が素晴らしく、開放的な稜線歩きも魅力な縦走コース。一日5、6時間かけて歩く予定だ。

出発後、早速弱い雨が降り始める。これからどんどん強くなっていく予報なので、さっさと雨具を着込む。蒸れるなどなんだのと構ってはいられない。

グループ登山は、経験者・体力のある者が先頭や後尾に立ち、全体をサポートしながら登っていくのがセオリーかとは思うが、この度の皆さんは超!個人プレーである。各々のペースを決して崩さず登っていく。結局、スキルが同程度のメンバーが自然と寄り集まり、3グループに分散して登っていくことになった。

 


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霞んでいて景色が見えないので、草花を観察しながら歩く。全員植物の知識が乏しいので「綺麗だねー」「かわいいねー」「どなたでしょうねー」という観察しかできない。

 

歩き始めて1時間、本格的に雨が強くなってくる。

 



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歩き始めて2時間、全身ずぶぬれで、携帯電話を取り出すのも億劫である。写真撮れない。

この辺りの休憩所で、持参したおにぎりをガツガツ食べる。きれいな空気の中景色を眺めつつ食べる予定だったのに……。こんな天気にも関わらず、部活?なのか授業の一環か、学生たちでごった返していた。20人以上はいただろう。引率の先生も、この人数は大変だ……。

 


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鎖場も数か所あり、滑らないよう、いつも以上に慎重に下る。

この辺りまで来ると、会話も無くなる。土砂降りの雨の中の登山は本当に面白くない。とにかく早く山小屋へ着きたい……。

 


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13:40、塔ノ岳に到着。雄大な富士山や相模湾、丹沢の美しい山なみが一望でき、人気の山なのだが……。


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真っ白やで。本当に、ご褒美ゼロだな。そして誰もいない。

ここからさらに丹沢山へ。ちなみに丹沢山まで向かう縦走コースも、素晴らしい景色(らしい)。

 


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15:00、丹沢山到着。冷えと疲労でかなり時間がかかってしまった。

既に多くの登山客がチェックインしていて、「荷物置き場で雨具を乾かしてください」と言われて向かうが、ハンガーも足りないし干す場所もない。一人で二個も三個も使う馬鹿のハンガーを強奪してやろうかと思った。

 

何はともあれ、やっと宿に着いた。即、眠りにつきたかったが、それどころではない事態に気づいたのであった。