胸を張って生きていく

大腸内視鏡検査の前日の食事は、病院から渡された検査食に置き換えなければならない。

 


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色々な種類の検査食はあるようだけど、今回私がいただいたのはこのラインナップ。この他に、夕食がビーフシチューになっているものも選べたが、味にハズレが無さそうなチキンクリームを選択した。それ以外は透明なゼリーやプリンなんかも食べてOKとか。

もともとお粥の類は大好きだし、検査食自体には全く不満はなかった。味も美味しいしね。

 

夕食は午後七時までに食べ終え、それ以降は水・お茶・スポドリのみ摂取可。あとは早く寝るだけだわね……。

と思いきや、午後八時に下剤を飲め、との指示。

粉薬を水に溶かし、錠剤とともに服用。この溶かした粉薬がしょっぱ……!!いや、甘……!?とにかく舌がしびれるくらい濃い。水で舌を洗い流し、さぁ就寝までの時間まったり過ごすか……と読書をしていると、下腹部から不穏な気配。え、早くない!?

そこからはベッドとトイレを何往復もし、漏らしてしまう恐怖と闘いながらなんとか寝てしまわなければとうなされながら就寝。夫からも「歯ぎしりがすごかった」と久々にクレームをいただいた。

 

検査当日。

当然朝食は無し。これから午後の検査まで、さらに1800mlの下剤を飲んでゆく。前日と同じ粉薬を希釈したものだが、濃度は薄くなっているので、アクエリアスみたいな味になっていた。なるほどね。

 


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「200mlずつ10分毎に、約二時間かけて全量を飲んでください」との指示。

 

他にも水やお茶も多く飲むようにとのこと。脱水対策かしらね。

まぁ二時間ありゃいけるやろ。ヨユーヨユー!

 

ナメ腐ってました。体験者が皆一様に「下剤がつらい」と言っていた理由が分かった。

この日は非常に暖かい一日だったのだが、それでも、冷たい下剤を10分おきに飲み、即出し、(というか飲み切らないうちに来た来た来たーー!とトイレに駆け込むのでタイムスケジュールなんてあったもんじゃない。)とにかく体が冷える。

寒い……寒い……と、最高気温25度の中、震えながらスクワットをする……ああ、もう飲まなきゃ……でももう入っていかない……キャーまた下りてきたー!と大騒ぎであった。追加で水や茶なんか飲めるもんか。

さらに病院まではバスを使っての移動。これ、移動中にキてしまったらどうしよう。不安で仕方ない。

 

地獄の下剤責めにより、無事に便が透明になり、もう私は一本の管になりました……と真っ白に燃え尽きながらも、なんとかバスに乗り込む。

とはいえ、下剤すごいな、と思ったのは、出口のすぐ手前まで容赦なく下りてはくるのだが決して痛くはないのだ。いわゆる腹下しの状態は、神や仏、はたまた悪魔にも祈りを捧げるほどの痛みを伴って下りてくるものだが、そういった辛さは一切無かった。ただただ「きた!!!!」という感覚だけである。なので30分のバス移動も、なんとか人間の尊厳を保ち続けることが出来た。

 

病院に着いたら早速検査がスタート。臀部にスリットが入った検査着に着替え、点滴で「眠くなるけれど話せるくらいの薬」を入れられる。なんじゃそりゃ。(この薬を使用する故、公共機関を使って来院しなければならないのだった)

点滴を入れられる間(単純に寝不足でこんな長い間寝っ転がったら眠くなるよな……)と思いながら、ぼうとする。薬が効いているのかどうか不明。

 

30分くらい経ち、先生が登場。ハイやっていきまーす!と機械的である。

確かに他にも検査の人は何人かいて、仕切られはしているが同じようなベッドが並んでいる様子だった。端から順番にケツに管を通していっているのだろう。すごい仕事だ。

なんだかんだ、検査が決まった後は、自分の大腸を見ることが出来る機会なんてそうないし、ちょっと楽しみ~と割と吹っ切れてはいた。(夫からは「あんたすごいな、信じられない」と言われたが)ヨシ!どんとこい!

 

肛門に麻酔ジェルを塗られ、いざ・・・と先ずは観察のために、内視鏡から二酸化炭素を入れて腸内を膨らませる。あががっがががががが腹に、腹が膨張する!苦しい!苦しいと思うからおならしてね~って先生あなた言うけどおならが出るところから空気入れてますよね?どど、どうやって!?

混乱をよそに容赦なくカメラを入れていく先生。カメラはまず一番奥の小腸の入り口(出口?)まで突っ込み、抜きながら観察していく。そして大腸は当然まっすぐでは無いので、カメラを進めていく間で管が腸壁を圧迫してなんとも言えない苦しさがある。腸には痛覚が無いはず……なんで!?痛っっていうか苦しい!!「ぐっ……ぅあああぁぁ!」と声が出てしまう。腸長いな~~ハハハなどと言われながら何とか耐える。そうか、私は腸が長いのか……新事実……ああ、おなら出せた、やったぜ……もうすぐ奥だ……。

先生がこれは盲腸、ここから小腸だよーと教えてくれる。ここからは折り返し。全然きれいな腸だね~ポリープもないしね~と二人で観察しながら引き抜いていく。わぁ……キレイですか……やったぁ…ゼエ…ハア……と話しながらモニターを見る余裕も出てきた。

出口も出口、肛門の手前に内痔核が見つかり、便潜血の原因はこれだろうね、ということであった。上のとこですか?と質問したら、先生がそうそうと指を指した瞬間に空気圧で内視鏡が外れてしまい、ごめんごめんともう一度入れられた時には「いやいやいやもう良いです!!」と焦る一幕もあったが。

 

何はともあれ、原因がわかってホッとした。原因のいぼ痔も、たいして治療が必要なわけではないくらいの軽いものとのこと。自然治癒に任せて良いそうだ。

私の大腸は医師からもお墨付き。

これからは「私は綺麗な大腸を持つ女だ」と胸を張って言い切れる。なんだか達成感も相俟って、自己肯定感が爆上がりだ。

この爽快感はなかなか感じられないので、腸に不安がある人には是非ともお勧めしたい。そして「いや、自分の腸は綺麗なんで。」と自信をつけてもらいたい。

何か見つかったら見つかったで、悪いことではないのだから。(むしろ早期発見は一番重要である)

 

 

ちなみに、痔は未だ治ってはいない。